印象派展が東京都美術館で開催!詳細

「佐藤可士和展」が国立新美術館で開催。ユニクロやSMAP、日清食品を手がけた唯一無二のクリエイティビティを体感

国立新美術館で開催の佐藤可士和展のプレスリリース用アイキャッチ
この記事は約23分で読めます。

東京港区六本木にある国立新美術館は、2007年の開館以来、「さまざまな美術表現を紹介し、新たな視点を提起する美術館」を活動方針に掲げ、デザインや建築の展覧会を定期的に催してきました。

この理念を体現する企画として、日本を代表するクリエイティブディレクター、佐藤可士和氏の展覧会「佐藤可士和展」を2021年2月3日(水)~5月10日(月)の期間で開催します。
→【追記】政府からの要請を受け4月25日(日)から国立新美術館が臨時休館するため、本展は24日をもって中止となりました。

佐藤可士和展の展示会場の様子

過去最大規模の個展となる本展では、佐藤氏自身がキュレーションする会場を構成し、約30年にわたる活動の軌跡を多角的に紹介します。

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目次

佐藤可士和展について

1990年代、株式会社博報堂でアートディレクターとして斬新な広告プロジェクトを次々と手がけた佐藤可士和氏は、 2000年の独立以来、企業から、幼稚園、病院、ミュージアム、エンターテインメント界、ファッション界、地域産業まで、多種多様な分野で革新的なVI・CI計画やブランド戦略を手がけ、内外から注目を集めてきました。

佐藤可士和展の展示会場の様子
佐藤氏が手掛けた壁面広告デザイン

デザインの根本原理―伝えるべき情報を整理してその本質を抽出し、誰もが一目で理解できる視覚言語・記号に置き換え、広く伝達する―を、その本来の領域をはるかに越えた幅広い分野に適用する佐藤独自の稀有な方法論は、デザインの概念を拡張・刷新するだけでなく、文化、経済活動、そして私たちの日常生活に至るまで、社会のすみずみに影響を及ぼしています。

佐藤可士和展の構成・見どころ

佐藤可士和展の館内写真

THE SPACE WITHIN

子どもの頃からマンガの表紙やロゴ、標識などのマークが好きで、それらの中に一つの宇宙(スペース/SPACE)を見ていたという佐藤氏。

本展のイントロダクションでは、佐藤氏の原点とも言える幼少期のコラージュ作品「宇宙」や、1989年の博報堂入社当時、Macintosh IIciを用いて初めてコンピュータでデザインした作品「6 ICONS」などを展示します。

シンプルで明快、一度見たら忘れられないと評される佐藤のデザインのベースをなす思考法「超整理術」をはじめ、クリエイティブフィロソフィーにも触れながら、その人物像に迫ります。

ADVERTISING AND BEYOND

1989年に広告代理店の博報堂に入社した佐藤氏は、1990年代にアートディレクターとして斬新な広告表現を次々に打ち出したのち、2000年に独立してクリエイティブスタジオ「SAMURAI」を設立し、活動の場を広げていきました。

佐藤可士和展の展示会場の様子
顔写真のない、インパクトある広告は話題に

この時期の功績として特に注目されるのは、デザインの力を通したメディアの拡張です。従来の広告展開の主軸は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4大メディアでした。
しかし彼はこの前提にとらわれず、人々の目に触れるものすべててが、デザイン次第で情報伝達の有効なメディアとなる可能性を提示していきます。

佐藤可士和展の展示会場の様子

CDジャケットや飲料のパッケージから、ショッピングバッグ、駅の連貼りポスター、ビルボード、街路を巡るラッピングバス、そして道端で通行人に配られるポケットティッシュまでもメディアととらえ、それら全てを統一性のある明快なデザインで貫きました。

街のあちこちが、情報を瞬時に伝える「アイコン」となって連動し、人々の目に飛び込む。その街並みがテレビや新聞で報道されれば、広告になる。その画期的なデザインワークは、広告戦略そのものの刷新を導きました。

佐藤可士和展の館内写真

このセクションでは、1990年代後半から2000年代にかけて佐藤氏が手がけた主要プロジェクトから、ビルボード、連貼りポスターなど屋外広告の傑作を、発表時のダイナミックなスケールで展示します。また広告キャンペーンの一環として展開されたグッズに加え、プロダクト、パッケージなどのデザインも紹介します。

THE LOGO

企業理念や商品・サービスの価値など、目に見えない概念のエッセンスを象徴的に視覚化したロゴは、コミュニケーション設計の要として、プロダクト、店舗や施設、社屋のサイン、名刺や封筒、アプリアイコンやホームページ、SNS、パッケージ、ショッピングバッグ、衣服のタグなど、さまざまな媒体に展開されます。

佐藤可士和展の館内写真

そのためロゴには、いかにサイズや質感が変わったとしても、一貫したイメージを伝えることのできる明快なデザインが不可欠です。

佐藤氏は、企業、教育機関、文化施設、病院、地域産業、服飾ブランドなど、多種多様な分野でクリエイティブディレクションを手がけるなかで、多くのロゴを制作してきました。それらはいずれも、一度目にしたら忘れがたい簡潔明瞭な造形と色彩を特徴としています。

佐藤可士和展の展示会場の様子
当会場にあるロゴは、各企業にまつわる素材で作られています

このセクションでは、展覧会ならではの趣向として、私たちが日々慣れ親しんでいる数々のロゴを、巨大な絵画やオブジェへと物質化し、壮大なインスタレーションに展開します。圧巻の大きなロゴはいずれも、企業・組織の理念や活動分野を示唆するような素材で制作されています。

THE POWER OF GRAPHIC DESIGN

紙を中心とする平面のメディアに展開されるグラフィックデザイン。佐藤氏がプロデュースするプロジェクトはきわめて多岐にわたりますが、すべての発想のベースには、グラフィックデザインがあります。

このセクションでは、選りすぐられたポスターと装丁デザインの傑作を紹介。シンプルで明快、鮮烈でパワフルにして、洗練された美しさが際立つグラフィックデザインは、見る者の目をとらえて離しません。

ICONIC BRANDING PROJECTS

佐藤氏は2000年代半ばから、企業、教育機関、文化施設、病院、地域産業、伝統文化、アパレルブランドなどさまざまな領域で、クリエイティブディレクターとしてブランディングのプロジェクトを数多く手がけてきました。

佐藤可士和展の展示会場の様子
セブンイレブンのプライベートブランドをトータルブランディング

対象の本質的価値を引き出し、それを端的に視覚化して社会にコミュニケーションするブランディングにおいて、一貫して追求してきた戦略が、目に触れるあらゆるものをメディアととらえ、デザインを通して「アイコン」にすることです。

佐藤可士和展の館内写真

その基本となるのはロゴですが、商品も、店舗やオフィスなどの空間も、建築物も、それらが存在する街の風景さえも、効果的かつ的確にコンセプトを伝達するアイコンへと変貌させてきました。

たとえば、有名な「今治タオル」のブランディングでは、商品の真っ白なタオル自体が「安心・安全・高品質」を象徴するアイコンとなり、明快なロゴとセットになって、見る者の記憶に鮮明に残るビジュアルアイデンティティを確立しています。

佐藤可士和展の展示会場の様子
ふじようちえん

また、リニューアルを総合プロデュースした東京都立川市の「ふじようちえん」では、ユニークな楕円形の園舎の建物(設計:手塚貴晴・手塚由比)が、「園舎自体が巨大な遊具」という佐藤のグランドコンセプトを体現し、幼稚園そのもののアイコンとなっています。

このセクションでは数々のプロジェクトを一挙に紹介し、進化を続ける佐藤独自の「アイコニック・ブランディング」の革新性に迫ります。

LINES / FLOW

このセクションでは、佐藤自身の「アイコン」とも言うべき二つのアートワークのシリーズ、「LINES」と「FLOW」の対比的なインスタレーションを展開します。

本展のキービジュアルにもなっている「LINES」。
クリアな赤・青・白の直線で構成されるこの作品は、無限に組み替えられ、油彩画、陶板、映像…と、ありとあらゆるメディアに展開される可能性を秘めています。

本展ではすべて新作として、コンセプトムービー、有田焼の陶板作品と組皿、そして初公開となるステンレススチールを用いた大型作品をご覧いただきます。

「LINES」の幾何学的構成とは鮮やかな対比をなす、大きな和紙に描かれた有機的なドローイングのシリーズ「FLOW」は、青の岩絵具をたっぷりと含ませた大筆の一振りから生じる作品です。

佐藤可士和展の展示会場の様子
FLOW

紙にいっさい触れることなく、動力と重力だけで描かれる「FLOW」には、佐藤氏の身体の一瞬の動きを通じて、目に見えないエネルギーやパワーが可視化されています。対象の本質に最もふさわしい表現スタイルを追求する佐藤氏は、ときにはコンピュータではなく、自らの手で描いた魅力的なイラストやドローイングをデザインに生かし、高く評価されてきました。

「FLOW」は、この「画家・素描家」としての卓越性を象徴するアイコンといえます。

本展では「FLOW」の最新作3点を、その前身に位置付けられる有田焼のシリーズ「DISSIMILAR」とともに紹介します。岩絵具が空中に飛び散る一瞬をとらえたダイナミックな映像作品も見どころです。

佐藤可士和氏、こぼれ話

世界的に活躍をする佐藤氏。
とある雑誌にて、ヒット商品を生み出すために商品の本質を見抜くアプローチとして「前提を疑う」ことが最も重要であると、語られていました。

そしてこれは、佐藤氏のクリエイティブワークの原点とも言えるフランスのアーティスト、マルセル・デュシャン(1887-1968)から学んだことだそうです。

20世紀初頭、皆が一所懸命絵を描いて、次は何派だとか言って競っている時に、デュシャンはその辺に売っている男性用の小便器にサインをして、それに『泉』というタイトルを付けて、美術展に出展したんです。


キャンバスの中にどんな絵を描くのかということが問われていた時代に、いや、そもそも絵を描く必要があるのかと。見る人にインパクトを与えるために、敢えて便器という鑑賞するものとは程遠いものを提示して、アートの本質とは何かをズバッと示した。つまりそういう行為自体が作品であると。

人間学を学ぶ月刊誌「致知」2012年9月号

トライアローグ展の記事で取り上げたばかりのマルセル・デュシャン。いろんなところでアートはつながります♪

バックナンバーからイイトコ取りしたこの書籍は、おすすめです↓

佐藤可士和展の開催概要

佐藤可士和展の企画展チラシ

展覧会名
佐藤可士和展

開催期間
2021年2月3日(水)〜5月10日(月) 10:00〜18:00
休館日:火曜 ※2月23日(火)、5月4日(火)は除く、2月24日(水)は休館
※入場は閉館の30分前まで
※開館時間は変更になる場合があります

→【追記】政府からの要請を受け4月25日(日)から国立新美術館が臨時休館するため、本展は24日をもって中止となりました。

会場
国立新美術館 企画展示室 1E(東京都港区六本木7-22-2)→Googleマップ
・東京メトロ千代田線 乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
・東京メトロ日比谷線 六本木駅 4a出口から徒歩約5分
・都営地下鉄大江戸線 六本木駅 7出口から徒歩約4分

チケット料金
一般:1,700円、大学生:1,200円、高校生:800円、中学生以下:無料、障がい者手帳をお持ちの方:無料
国立新美術館中央インフォメーション横にて当日限定チケットを販売していますが、販売終了になる可能性もあるので事前予約がおすすめです。

公式サイト
https://kashiwasato2020.com/

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国立新美術館の施設概要

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